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愛知県公立高校入試 筆記試験 数学問題の分析

大問1

易しい問題が9題出題されます。5教科を通して、もっとも得点効率の良い部分ですので、実力不足で効率よく点数を取りたい生徒は数学の大問1から対策を始めるのが定石になります。以前は大問1は計算のみでしたが、近年は計算問題5-6題に計算以外の易しい問題が3-4題程度で出題されるようになり、全国の入試の標準に近づきました。

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◀講習用テキストとして採用している「フォレスタステップ」

受験に向けた最重要単元を効率的に復習していくので、数学の大問1では無理なく満点を取ることのできる実力が身につきます。

2019年A日程の出題分析

計算     6点(易6, 並0, 難0)
規則性    1点(易0, 並1, 難0)
グラフの利用 3点(易0, 並3, 難0)
関数その他  1点(易1, 並0, 難0)
確率     2点(易0, 並2, 難0)
資料と整理  1点(易1, 並0, 難0)
図形の証明  2点(易0, 並2, 難0)
図形     6点(易2, 並0, 難4)

大問2

さまざまなタイプの問題の小問集合で、中レベルの問題から高レベルの問題がバランスよく出題されます。年度によっては、大問2を大問2と大問3に分割され、後述の大問3が大問4として出題されたこともあります。

​様々な問題が出題されますが、いくつか愛知県に特別なパターンでの出題もあります。

愛知県公立高校独特な出題パターン1「証明問題」

2018B    (2)

図で,△ABCと△ADEは正三角形である。

このとき,△ABD≡△ACEとなることを次のように証明した。しかし,書かれている証明は,このままでは正しくない。証明の下線部のうち,いずれか1つを書き直すことで,証明を正しくすることができる。この証明を正しくするために,下線部アからキまでのうち,どれを書き直せばよいか。書き直すものを1つ選んで,そのかな符号を書きなさい。また,証明が正しくなるように,その下線部を書き直しなさい。

(証明)

△ABDと△ACEにおいて,

△ABCは正三角形なので 

ア AB=AC   ……①

イ ∠BAC=60° ……②

△ADEは正三角形なので 

ウ AD=DE  ……③

エ ∠EAD=60°  ……④

②より,

オ ∠BAD=∠BAC+∠CAD=60°+∠CAD  ……⑤

④より,

カ ∠CAE=∠EAD+∠CAD=60°+∠CAD  ……⑥

⑤,⑥より,

キ ∠BAD=∠CAE  ……⑦

①,③,⑦より,2組の辺とその間の角が,それぞれ等しいので,

△ABD≡△ACE

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【ポイント】

愛知県では証明問題は伝統的にすべてを記述させることがない。穴埋めでの出題か、2017年以降は上述のような間違った部分を修正させるパターンで出題されている。証明の記述を正しく読み取る読解力と理解力が問われる良問であるが、きちんと対策すれば点数は取りやすい。

愛知県公立高校独特な出題パターン2「確率/資料の問題」

2019A    (3)

図のAの一にコマを置き,大小2つのさいころを投げて,出た目の数だけ,矢印の方向にコマを進める。

​このとき、最も起こりやすいことがらは次のアからオまでのうちどれか,そのかな符号を書きなさい。また,そのときの確率を求めなさい。

ア Aで止まる  イ Bで止まる  ウ Cで止まる

エ Dで止まる  オ Eで止まる

【ポイント】

いくつかの場合について確率を求めさせ、正しい答えを選ぶ形で出題される。2017年以降に出題されるようになった新傾向問題。樹形図などを用いても解けなくはないが、表を用いて整理すると効率的に答えを選ぶことができる。

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愛知県公立高校独特な出題パターン3「関数の利用」

2016A    (6)

自宅から祖母の家へ行く道の途中に公園がある。弟は,自宅を出発して,公園まで毎時5kmで歩き,公園で休憩して,公園から毎時4kmで歩いたところ,自宅を出発してから25分後に祖母の家に到着した。

兄は弟の忘れ物を届けるため,弟が自宅を出発した2分後に自宅を出発して,弟と同じ道を追いかけたところ,公園で休憩している弟に忘れ物を届けることができ,その後すぐに同じ道を通って自宅にもどった。

兄が進む速さは一定であり,自宅から黒鉛までの道のりが500m,公園から祖母の家までの道のりが1kmであるとき,次の①,②の問に答えなさい。

① 弟が自宅をしゅっぱつしてからx分後の自宅からの道のりをymとするとき、弟が自宅を出発してから祖母の家に到着するまでのxとyの関係を,グラフに表しなさい。

② 兄が自宅にもどったのは,弟が自宅を出発してから最も早くて何分後か,また最も遅くて何分後か,求めなさい。

【ポイント】

愛知県の関数の利用の問題では、放物線や双曲線などの曲線は出題されず直線(1次関数)の出題が30年以上にわたって続いている。問題集や過去問集の模範解答通りの解き方ではなく、テクニカルに座標をとってグラフを作図する練習を重ねると比較的容易に点数がとれる。

上述のような「速さ・距離・時間」の問題のほか、「水そうの中の水量」「動点と図形の面積」「料金プラン」の問題などは出題されやすいパターンなので練習しておきたい。またもともと2題構成で配点の高い問題であったが、2017年の入試改革以降は2点問題を含むことが多くさらに割の良い問題になったので、対策は必須である。

そのほか、「方程式の文章問題」や「放物線と直線」の問題なども多く出題されるが、他の都道府県での出題と大差はなく一般的な問題集でも十分に対策できます。

大問3

大問3は図形問題で配点は5点です。(1)は円周角等の求角の問題などが多く、点数が取りやすい。

(2)(3)はそれぞれ①②の2題構成で出題されます。難関私立高校入試で出題されるような難問が多く受験への合格だけを考えれば得点効率は悪いが、思考力や応用力を養う良問が多く、普通科高校に進学し大学受験を目指す生徒にはぜひ力を入れて対策してほしいところです。

難しめの図形問題の例

2009B    (2)

図で,四角形ABCDは長方形でE,Fはそれぞれ辺AD,BCの中点である。Gは辺DC上の点で,DG=2GCである。また,P,Qはそれぞれ線分AFとEB,DBとの交点,S,Rは線分AGとEB,DBとの交点である。

AB=6cm,AD=8cmであるとき,次の①,②の問に答えよ。

① 線分SPの長さは何cmか。

② 四角形PQRSの面積は何cm2か。

【ポイント】

図形の出題は中3の後半に中学校で学ぶ内容を踏まえた上での応用問題が大半を占め、学校の定期テストではほぼ扱わないような難問が出題される。そのため、このあたりの問題を正答し、満点を目指す生徒は学校の進度よりも早めに学習を進め、早めに対策を始めることが望ましい。

​また中学校ではあまり教えられない連比などのテクニックも習得しておくと、有用になる。

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◀SSS進学教室なら、学校では教えてくれない受験テクニックも、生徒の学力や目標に合わせて、身につけていくことができます。

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総括

数学は愛知県公立高校一般入試問題で、もっとも特徴があり、看板となる教科です。​

当塾でも力を入れて対策を行っています。

1問1点が原則であるため、計算問題の出題数は減少傾向にあるとはいえ、標準的な配点と比べ計算などの基礎問題の配点が大きく、逆に図形問題等の難問に対する配点が不当に思えるほどに小さいです。

入試の合格だけを考えるなら、割の良い問題である「大問1」「関数の利用」「求角」などを優先して対策すべきですが、点数効率の悪い問題には思考力を養う良問が揃っているため、特に大学進学まで考えている生徒は力を入れて勉強すると良いでしょう。

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